渚カヲルは何者?#最終章

今回は今までの#1〜3までをまとめて結論を出したいと思います。今までのものより長くなる可能性がありますがご容赦ください。


さて、#1では月と地球、生命の実と知恵の実についての関係性について述べました。なぜ月だけがループしていないのかということに関する考察でした。そして、もしかすると第一の使徒(生命の実)の力が強く働いていてその結果月はループに囚われていない可能性があると述べました。

しかし、カヲルの体は回想での加持さんの言葉もあるようにリリンの物である可能性が高いのでリリンの体は円環の物語によるリセットに囚われているのでループ間をまたげないが、月にあるせいでその肉体は消滅すると考えました。


そして#2ではカヲルのルーツについて深掘りすることになりました。シンエヴァは物語の終盤は大筋がヨハネの黙示録になぞられていると考えられます。そして最後の審判にて登場するイエス・キリストの発した「私はアルファであり、オメガである〜」という箇所から渚カヲルのQでの言葉と一致します。そして生命の書に名前を書き込めるという点からも神に近いイエスのような形で渚カヲルは描かれています。


そして最後#3。ここでは#1と2を踏まえた上での補足説明のような形で話を展開しました。

月は古来から死と復活というイメージを持たれていたこと。渚カヲルが起動した時は死海文書が外典から掟の書に変わった瞬間である。掟の書に変わってからは物語が従来と大きく変わり始めました。(ちなみに破の頃からマリがヒロインの個性を剥ぎ取った上でのマリヒロインエンドやアスカのクローン設定があったそうです。)第一の使徒としての彼の魂はおそらくすでに体には入っていたのに起動ができなかったのは円環の物語に囚われていたからだということを述べました。彼が起動のタイミングを知っていたのも記憶をひきついでいるからだと思っています。


これらの考察をまとめようと思います。彼は一体何者だったのでしょうか。

結論から話します。

彼は神ではありませんでした。

彼が第一の使徒であり、彼が円環の物語の中で記憶を引き継いでいたことは作中でも語られました。そして彼の体はゼーレ作ったものであり、彼の体が安置されている月は魂が行き着く場所、そして復活するための中継地点でした。そしてその安置されている場所には生命の実が強く関わっていると考えられます。ということは月というのはいわばループからいびつな形で外れている存在なのではないでしょうか。じゃあQでの月は?ということになりますが。これはこじつけのように聞こえるかもしれませんが、あくまでも影響が及んでいないのは表面(状況)だと思っています。たとえ存在する位置が変わっていても表面にあるものは全てループしても保存されたままになるということです。Qでの月を見て見ましょう

これですね。よく目を凝らして見ていただけるとわかるのですが十字(?)が切られているのが表面ではないことが確認できるかと思います。あの月はおそらく3つのレイヤーに分けられていると考えています。赤く染まっている部分を見るとわかりやすいかと思います。図説すると

こんな感じです。Photoshopすごい。月の表面の赤く染まった部分を見ると赤い表面の上空に赤い十字が切られており、その上に雲が視認できます。ということは表面には何も手が加えられていないのではと考えています。ループに囚われていない部分が月本体のみの場合、月の表面が何も変わっていないということはこのことからもわかると思います。

月は一旦ここまで。次は肝心のカヲルくんについて


カヲルくんはループに関する全ての記憶を引き継いでおり、彼の月にある棺からも無数のループを経験してきたのでしょう。以前の考察でもカヲルくんの目的が最終的に変化したという考察をしましたがまさにそのことです。肝心なのはここから。カヲルくんは第一の使徒であることは確かです。しかし、以前の考察でゼーレの少年と呼ばれるように彼はゼーレの管理下にあった=ゼーレの作った(培養した)ものではないかと考えました。すなわち13の使徒に堕ちる前の第一の使徒であったカヲルは魂のみが使徒であるということになります。これはDSSチョーカーの状態からもそう考えられます。

そして#2で話したように彼のルーツはイエス・キリストにあります。かの有名な『最後の審判』にて登場します。何よりの証拠としてあげられたのがキリストがヨハネに向かっていったセリフ

私はアルファであり、オメガである。最初の者にして、最後の者。初めであり、終わりである

これはヨハネに向けたいわば自己紹介のような者ですが、これをエヴァに置き換えるとカヲルそのものになります。「アルファでありオメガである」はプラグスーツに書かれた文字。「最初のものにして最後のもの」なんてまさに彼の状態を表しています。彼は第一の使徒にして、ないはずの最後の使徒である13の使徒になっていました。これも一致しますね。そして「初めであり、終わりである」これはカヲルが堕ちた時の「始まりと終わりは同じというわけか」と一致します。まさしく彼はイエス・キリストを意識して作られています。

だからこそ彼は生命の書に書き込めたのでしょう。そして、シンジは書き込まれたことによって天国に登る者、すなわち生命の実と知恵の実の両方を手に入れられる存在となったと考えます。

ではエヴァにおいてのカヲルの存在とはなにに値するのか。神という表現が考えられますが、ヨハネの黙示録に登場したキリストもあくまでも神である主の御使いという立場にあります。すなわち神の直属の者であるということです。ということはカヲルはやはり神ではなく、あくでも第一の使徒であることに変わりはなさそうです。テレビシリーズや旧劇場版では第一使徒アダムが使徒を生み出していましたが新劇ではその設定が明らかになっていないんです。やはりゼーレの正体で話をしたように”第一始祖民族”のような立ち位置の生命体が神として存在して、それが生み出した存在に過ぎないのは確かだと思います。しかし、第一の使徒にはその神に近しい力をもっていたということでしょう。これらのことからもカヲルの正体はあくまでも神に近い力を持った神の御使いに過ぎないということでしょう。もし仮に円環の物語に「神」が大きく関わっていたならばループに囚われなかったのそのせいかもしれませんね。


さて、長くなりましたがまとめます。

Qの描写からも位置などが変化しても月は表面的には何も変化していない。※図説あり

カヲルの正体はあくまでも神ではなく第一の使徒でしかないということ。

あくまでも神に近しい力を持った神の御使いにすぎないということ。

と考えました。


いかがだったでしょうか。長く続いたカヲル考察もこれで最後です。長々と書きましたが今まで読んでいただけたのであれば幸いです。これからも不定期ですが考察を投下していきますので何卒よろしくお願いします。

するらふんの頭の中

するらふん と申します。 ここではエヴァの考察をメインにさまざまなものを投稿しています。よければ読んでいってください。

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